日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー3 米国におけるロボット支援脊椎手術の現状 共催:グローバスメディカル株式会社

2020年11月26日(木) 11:50 〜 12:50 第3会場 (2F B-2)

座長:根尾 昌志(大阪医科大学 整形外科)

[LS3] 米国におけるロボット支援脊椎手術の現状

川口善治 (富山大学医学部 整形外科)

 2000年、米国食品医薬品局(FDA)によりロボット手術支援装置であるダビンチ手術システム(米インテュイティブサージカル社)が承認されて以来、各種のロボットシステムが各分野の外科手術に浸透してきた。前述のダビンチシステムは当初、泌尿器科領域を中心に急速に普及が始まったが、その後、婦人科領域や軟部組織を対象とした一般外科用途に広がりをみせ、2018年には日本国内でも保険適用範囲が拡大し、高精度で低侵襲なロボット支援手術として普及が続いている。また、整形外科領域においては関節手術を対象としたMAKO(ストライカー社)が世界的に有名であり国内でも2019年より稼働が始まっている。
 一方、脊椎手術領域においては術前術中のCT画像上で手術器械位置を参照できるフリーハンド式のナビゲーションシステムや術中Cアーム/Oアーム型の術中CTが普及しているのに対し、手術用器械の誘導ロボットシステムはあまり普及していなかった。しかしこの数年間、従来のナビゲーション機能とロボットアーム誘導機能を連携させた新しいシステムが複数登場しはじめ、脊椎手術領域でもロボットシステム普及の兆しが見え始めている。現時点で米国では少なくともMazor X Stealth Edition(メドトロニック社)、ROSA(ジンマー社)、ExcelsiusGPS(グローバスメディカル社)の3種類のロボットシステムがFDAによって承認されており、合計で200台以上が稼働しているとの情報がある。これらの装置は共通してナビゲーションユニットに加え、インプラント配置計画用のモニター画面と器械誘導用のロボットアームを備えており、高精度なインプラント留置を標榜している。日本国内では脊椎用の手術システムは未だ稼働していないが、このうち1機種ExcelsiusGPSが2020年に日本国内での承認を取得しており製品情報の提供が可能となった。
 今回のセミナーでは米国を中心としたロボット支援脊椎手術の現状と今後の展望について、グローバスメディカル社製ロボットシステムを例に技術的および臨床的側面から紹介していく。