[LS8] Parkinson病にともなう脊柱変形の外科的治療
Parkinson病(PD)はAlzheimer病についで2番目に多い神経変性疾患で、運動障害をきたす神経変性疾患では最も多い疾患です。PDの有病率は加齢とともに増加します。これまで少ないと言われていた我が国でも高齢化とともに急速に増加し、2000年の調査では人口10万人あたりの有病率は120ー130人と報告されています。初発症状は振戦、運動困難、歩行障害、姿勢異常なので、初診の約4分の1が整形外科を受診しています。PDに伴う脊柱変形は矢状面の変形としてCamptocormia(体幹前屈)と首下がり(Dropped head/Antecollis)、冠状面の変形としてPisa 症候群(体幹側傾)、変性側弯の合併があります。PDに伴う脊柱変形の発生率はPisa症候群約2%、首下がり5ー6%、変性側弯症の合併で43ー90%と言われています。PDにともなう脊柱変形は重度のADL障害の原因となりますが、変形矯正手術以外に有効な治療法はありません。この変形の矯正手術は患者の生活の質(QOL)を著しく向上させますので、合併症や再手術率もかなり高い手術にも関わらず、患者の満足度が高いと報告されています。我々は2001年から現在までPDやParkinson syndromeに重度の脊柱変形を伴った22例に対し矯正手術を行ってきました。この20年間に、spinal instrumentationなど脊椎手術の著しい進歩により、手術成績は著しく向上してきています。しかしながら、この高侵襲で難易度が高く、合併症や再手術率が高いこの手術に対しては懐疑的な意見もあり、脊椎外科専門医の間でも一致した評価は得られていません。今回、脊椎外科医以外には未だあまり認知されていないPDを伴う脊柱変形の矯正固定手術の現状を紹介し、現在の課題や問題点についてお話ししたいと思います。しかしながら、この高侵襲で難易度が高く、合併症や再手術率が高いこの手術に対しては懐疑的な意見もあり、脊椎外科専門医の間でも一致した評価は得られていません。今回、脊椎外科医以外には未だあまり認知されていないPDを伴う脊柱変形の矯正固定手術の現状を紹介し、現在の課題や問題点についてお話ししたいと思います。