[P1-12] 慢性シンナー中毒の若年男性に発症したてんかん発作:脳波所見の変化
【症例】30代男性【家族歴】父、姉、妻もシンナー吸引歴あり【既往歴】10代からシンナー吸引。20代に遠位性尿細管アシドシーシス、低カリウムによる下肢脱力。尿中の馬尿酸の高値を指摘。【病歴と経過】29歳の夏けいれんを発症し入院。初回の脳波は棘波を少量混じた高振幅rhythmic delta wavesが20分持続。抗てんかん薬開始。その後棘波が目立つようになり、一時的には一側性周期性脳波(LPDs)からのseizure patternも出現した。3年目には正常に近い脳波(背景活動正常で棘徐波が1回のみ出現)の時期もあった。しかし4年後にはspike and waveが頻発する脳波へと変化した。Episodicに精神症状やけいれん発作も出現した。【考察】慢性シンナー中毒でのてんかん発作は稀である。脳波を長期追跡した報告も少ない。シンナーはトルエン以外にも有害成分を含むが、それらの毒性によってepileptogenesisが進行したと考えた。