[P10-4] 錐体路伝導に対する糖尿病の影響
【目的】糖尿病が錐体路に及ぼす影響を,大脳皮質脊髄円錐部運動伝導時間(cortico-conus motor conduction time: CCCT)を測定することにより,検討する.【方法】頭蓋内病変の既往のない糖尿病患者41名と身長,年齢の合致した健常人70名を対象とした.前脛骨筋から運動誘発電位(MEP)を記録した.経頭蓋磁気刺激から皮質潜時を測定し,円錐部刺激からL1潜時を測定し,潜時差からCCCTを測定した.【結果】糖尿病患者では,L1潜時が優位に遅延していた.一方で,CCCTは健常人と有意差を認めなかった.【考察】糖尿病性神経障害の原因として,代謝障害説や血管障害説などが想定されている.これに対し,中枢神経は血液脳関門が存在するため,代謝障害の影響を受けにくい可能性や,豊富な側副血行路が存在するため,血管障害を起こしにくい可能性などが考えられる.【結語】錐体路は末梢神経に比して,糖尿病の影響を受けにくい.