[P11-4] ヒトMTに対する経頭蓋直流電流刺激による運動視能への影響
近年、頭皮上から微弱な直流電流を通電することで電極下の大脳皮質の興奮性を修飾する経頭蓋直流電流刺激(tDCS)法の臨床応用が医療分野で注目されているが、正常視覚皮質への機能修飾効果は不明である。【目的】ヒトの運動視中枢である中側頭(MT)野を陽極通電して興奮性を高めることで動き方向の弁別能が高まるのかを検証した。【方法】動くランダムドットパターン刺激を用いた運動方向弁別課題を、MT野への陽極通電下と非通電下(sham)で実施し、条件間における正答率の比較を行った。【結果】 同じ方向に動くドットの割合が高い(高コヒーレンス)条件において、陽極刺激の正答率はsham刺激より有意に高く、さらに、動き方向別で解析したところ、左方向に動く刺激の弁別で有意に正答率が高かった。【結論】 ヒトMT野へのtDCS陽極刺激は、高コヒーレンス条件下での運動方向弁別能を、方向選択的に高めることが示唆される。