[P11-7] 閾値探索法を用いた,筋萎縮性側索硬化症の運動野皮質内抑制回路異常の検討
【目的】近年経頭蓋磁気刺激(TMS)により測定される短潜時皮質内抑制(SICI)が減少・消失することが,ALSの病初期において認められることが報告されている.今回,閾値探索(TH)法を用いて,ALSのSICIを測定し,運動野皮質内抑制回路異常を検討することとした.【方法】左右FDIを被験筋とし,TH法を用いて安静時運動閾値(RMT)と,SICI・皮質内促通(ICF)を測定した.二発刺激で得られた閾値とRMTとの比を百分率で表し解析した.【結果】計19人,延べ21人(女性6人)のALS患者が対象となった.安静時MEP導出不能であったのは13肢(30%)であった.全症例における平均SICIは4.9%,ICFは-3.0%,どのISIでもSICIを認めなかったのは8肢(18%)であった.【結論】ALS患者では一定の割合でSICIの消失を認めるも,閾値の上昇によりSICIを測定できない症例も少なからず認められた.白人と比して閾値の高いとされる日本人では手法の改善が望ましいことが示唆された.