日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター てんかん

[P14-23] 慢性硬膜下血腫にてんかんを呈した1症例

須永茂樹, 神保洋之, 大貫浩幸, 松永恭輔, 横山智哉, 岡田博史, 大塚邦紀 (東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科)

(はじめに)慢性硬膜下血腫によるけいれんは2.3-23.4%と報告されている.今回,慢性硬膜下血腫術後に意識障害を呈した症例を経験したので報告する.(症例)74歳,男性.平成X年9月頭部外傷で搬送され,2ヶ月後に右上下肢の筋力低下を認め,CTで左慢性硬膜下血腫を認めた.同日に左尖頭血腫洗浄ドレナージ術を行った.平成X+1年8月頃から道が分からなくなるなどの意識障害(認知様症状)が出現した.本年になり更に意識障害を認め平成X+2年9月に再受診となった.意識障害は,日に改善と悪化を繰り返すものであった. MRIでは左側頭葉内側構造の萎縮が確認された.更に間欠期脳波では,左側頭部にてんかん性異常波が見られた.焦点てんかんと診断し抗てんかん剤の投与で,発作は消失した.(考察)てんかんを発症するメカニズムは,血腫形成による頭蓋内圧亢進,血腫による脳の圧迫からの局所的血流低下,大皮質の損傷や血腫皮膜形成に伴ったグリオーシス変化の関与が示唆されている.