[P16-4] 重症くも膜下出血でAlpha comaの状態より回復がみられた1例
重症くも膜下出血の症例で脳波上Alpha comaと診断し、治療により回復した症例を報告する。症例は60歳、男性。来院時意識昏睡で両側瞳孔散大がみられ、CTで破裂動脈瘤によるびまん性くも膜下出血と診断した。胸部Xpでは肺水腫を指摘され人工呼吸器で管理した。脳波検査で全体的に単調なAlpha波がみられAlpha comaと診断した。重症くも膜下出血であり、合併症の問題もあるので、コイル塞栓術を施行した。その後の経過は良好で、神経学的に、下肢麻痺は残存したが、簡単な日常会話が可能なまでに回復した。術後脳波では基礎波も正常化した。Alpha comaと診断された患者の予後は不良と報告も多い。病態として呼吸不全による低酸素脳症が背景にあるが、橋-中脳の病変でも起こることが指摘されている。本症例は、原疾患の治療がなされ、適切な呼吸器疾患の治療を行うことにより低酸素状態からの回復があれば脳波の改善も得られ予後が改善することが示唆された。