[P17-1] 運動準備段階の脳活動を変容させる空間注意条件の検討
【目的】Libetら(1983)は随意運動の企図は脳波変化後に自覚されることを明らかにした。我々は過去に運動前の事象関連脱同期(ERD)が視覚情報に影響されることを報告した(文室ら、2018)。今回は症例数を増やし、解析周波数を広げて更なる検討を行った。【方法】被験者前方に時計回り又は反時計回りに3秒で1周する視覚指標を表示した。被験者は自己ペースで手関節伸展運動を行った。運動開始時点の指標位置により試行を二群に分けて運動前の脳波の時間周波数解析を行った。【結果】前回報告のα帯域だけでなく、β(20-26 Hz)帯域でも指標位置の左右半視野と同側の頭皮上頭頂・後頭部では対側に比してERDが増大した。β-ERDは前頭部優位だが、空間注意条件による影響は頭頂・後頭部で現れた。【考察】Libet課題は運動開始時点により注意視野が異なり、脳電位の出現様式にも差異が生じる。運動と空間注意負荷は頭頂・後頭部で相互に影響し合うことを示した。