日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター 脊椎脊髄・神経叢疾患

[P20-6] 神経生理学的検査所見が診断に有用であった放射線治療後の遅発性進行性腰仙髄神経叢障害の一例

佐藤俊一 (長野赤十字病院 神経内科)

【症例】48歳女性。主訴:両下肢の筋力低下 既往歴:子宮頸がん27歳時 放射線・化学療法治療後 現病歴:X-11年(37歳時)から右跛行出現。徐々に進行し、X年11月歩行困難となった。神経学的に下肢深部腱反射は減弱、両側両下肢遠位の筋力低下。表在覚および振動覚鈍麻なし、軽度の両下肢しびれ感あり。神経伝導検査では下肢のF波の軽度遅延を認めた。針筋電図では下肢に限局する慢性神経原性変化あり。腓腹神経の神経生検では非特異的な神経脱落の所見のみ。電気生理学的所見、放射線照射記録から、遅発性進行性腰仙髄神経叢障害:RILPと考えられた。【考察】RILPは稀な疾患で放射線による線維化などが原因とされる。放射線治療後長期間を経て発症することから診断が難しい。本例では電気生理学的検査による局在診断が非常に有用であった。本例では腔内照射が追加されていた点、化学療法の影響などが発症の誘因になった可能性が考えられた。