[P21-15] 重症COVID-19発症後に遅発性両側顔面神経麻痺を呈した1例
【症例】症例は43歳男性.5日間持続する発熱を主訴に受診し,PCR検査でCOVID-19と診断され入院.入院5日目に急速に呼吸状態が悪化し8日間の気管挿管及びICU管理を要した.入院26日目に無症状で自宅退院したが,その6日後から左顔面麻痺が出現し両側に進行した.受診時,左優位の末梢性の顔面神経麻痺を認めたが,その他の脳神経障害や四肢筋力低下等はなかった.瞬目反射は左側で消失し,右側は第1反応,第2反応ともに潜時の延長を認めた.現在症状は改善傾向にある.【考察】COVID-19と関連した末梢神経障害ではGBSの報告が多いが,本例のように発症から5週間後という遅発性に両側顔面神経麻痺のみを呈した報告は見当たらない.検査所見からは左側優位の両側顔面神経に脱髄主体の変化が生じたと考えられるが,本ウイルスとの関連について文献学的考察を加えて報告する.