日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター 末梢神経疾患

[P21-19] 乳癌に対するエリブリンを含む化学療法後にミオキミアを伴う多巣性脱髄性ニューロパチーをきたした一例

角替麻里絵, 藤原悟, 塩見悠真, 比谷里美, 乾涼磨, 中澤晋作, 木村正夢嶺, 黒田健仁, 石山浩之, 前川嵩太, 村上泰隆, 石井淳子, 尾原信行, 吉村元, 幸原伸夫, 川本未知 (神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経内科)

【症例】47歳女性。進行乳癌に対しX-2年5月に化学療法(ペルツズマブ,トラスツズマブ)を開始するも奏功せず,X-1年3月から治験に参加しエリブリンを追加した。X-1年8月に右上肢巧緻運動障害,同年10月に四肢遠位筋筋力低下と下肢の異常感覚が出現,入院2週間前から歩行時のふらつきが増悪し緊急入院。左右非対称な遠位筋優位の筋力低下と深部覚失調があり短母指伸筋や前脛骨筋にミオキミアが多発していた。神経伝導検査では運動神経優位に多巣性の脱髄所見を認めた。エリブリンを中止し免疫介在性の病態を想定してIVIGを施行すると,歩行は安定しミオキミアも減少した。【考察】乳癌治療中に生じた多巣性脱髄性ニューロパチーの一例で,既報告と中止後に改善した経過や治療反応性から,エリブリンに関連した自己免疫学的機序が推測された。エリブリンは軸索障害をきたす他の微小管阻害薬と異なり,atypical CIDPを含む他の脱髄性神経障害との鑑別を要する。