[P22-1] 下肢遠位筋脱力と末梢神経障害とを呈したBAG3ミオパチーの一家系
【症例】42歳男性(発端者)と68歳の母親の2例で,母方の家系には下肢脱力の者があった.両者とも30-40代発症の下肢の遠位脱力と腱反射消失を示し,神経伝導検査上下肢のCMAP, SNAPの低下を認めた.血清CK値の軽度上昇,心電図上QTcの軽度延長と肺活量の低下を認めた.発端者の外側広筋で筋生検では,fiber type groupingのほかに,筋線維の大小不同,筋原線維間網の乱れ,rimmed vacuole,cytoplasmic bodyを認め,筋原繊維ミオパチーの所見だった.発端者・母親ともBAG3 遺伝子に既知のヘテロ接合体変異P470Sが認められ,BAG3ミオパチーと診断した.【考察】BAG3ミオパチーは,小児期に発症で重症心筋症,呼吸不全,軸索型ニューロパチーを伴い,心移植や補助呼吸が必要となる予後不良の筋原線維性ミオパチーとして少数の報告がある.本家系では,軽症家系であったが,呼吸筋,心筋の軽度の障害が示唆された.