日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター リハビリテーション

[P25-19] 局所振動刺激により上肢機能の改善を得た不全脊髄損傷の一例

河村健太郎1, 衛藤誠二1, 大田篤1, 天野夢子1, 新留誠一2, 下堂薗恵1 (1.鹿児島大学医歯学総合研究科 リハビリテーション医学, 2.鹿児島大学病院 リハビリテーション部)

【症例】70歳代男性。不全頸髄損傷を受傷し、急性期治療後に当科へ入院となった。右上肢に優位な巧緻運動障害と触覚低下、異常知覚を認めたが、明らかな痙縮は認めなかった。受傷6週後から通常のリハ治療に加え右上肢全体へ3分間の家庭用電気マッサージ器を用いた振動刺激治療を開始した。3週間でBBT(Box and Block Test)とNHPT(Nine Hole Peg Test)はそれぞれ改善した。また、3週後に即時効果を評価したところ,刺激前後でBBT39→44個、NHPT100→74.5秒と改善し、30分後まで維持された。右母指外転筋からのF波は、刺激前と直後で、F/M比は6.72±4.56→6.98±5.37、F波潜時は27.1±0.4→27.8±0.7msで、ばらつきが大きくなった。【考察】振動刺激は脊髄損傷患者の上肢機能向上をさせうる。また、その機序として脊髄の前角細胞群の興奮性変化の関与が示唆された。