[P25-28] 母指の運動イメージが脊髄神経機能の興奮性に及ぼす影響―単関節と多関節による検討―
【目的】先行研究では短母指外転筋が作用する関節のイメージで当該筋に対応する脊髄神経機能の興奮性が増加すると報告した。本研究では母指の単関節と多関節のイメージが脊髄神経機能の興奮性に及ぼす影響をF波で検討した。【方法】対象は健常者10名で、F波は安静時と課題時に右正中神経を刺激し右短母指外転筋より導出した。課題は右母指の手根中手関節の尺側内転・掌側外転と橈側外転・掌側内転(課題1)、手根中手関節の運動に加え中手指節関節と指節間関節の屈曲と伸展(課題2)とし、事前に両課題の手根中手関節の運動が同様になるよう練習した。統計はFriedman検定とBonferroni補正したWilcoxonの符号付順位検定を用いた。【結果】振幅F/M比は安静時に比べて両課題、課題2と比べて課題1で増加した。【結論】両課題とも短母指外転筋に対応する脊髄神経機能の興奮性は増加するが、多関節のイメージでは遠位の関節運動を優位に想起した可能性が考えられた。