日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター 歩行・姿勢・動作分析

[P26-7] 片麻痺側の利き手による書字 -習熟運動の特徴-

藤澤祐基, 岡島康友, 中野尚子 (杏林大学 保健学部)

【目的】 書字運動をペン先と手の近位部の運動に分けて解析し、利き手書字の普遍的特徴が片麻痺で変化するかを検証した。【方法】 右利きの健常者9名、右不全片麻痺7名を対象に平仮名「あ」を左右の手で書かせ、ペン先、示指MP、手関節部の3次元座標を記録し、3評点の速度と運動半径(幾何学中心からの距離)の時系列グラフを比較した。【結果】 健常者で右手書字のペン先速度グラフの位相が近位部に先行する例ではペン先運動半径グラフ(筆跡)のバラツキは小さく、平均半径比(近位部/ペン先)は小さかった。左手書字では速度の位相差は近位が先行するか、同期する例が多く、筆跡のバラツキ、平均半径比とも大きかった。右片麻痺の右手書字では健常者の左手書字と同程度の時間を要した。位相差には健常者の右手書字の特徴を維持し一部に左手書字の特徴が混在した。【結論】利き手麻痺の利き手書字では巧緻性は低下しても習熟運動の特徴は保たれる。