[P6-14] ヒトの音源定位における低周波数優位は中潜時反応Na波の水準で成立する
【目的】ヒトにおいて水平方向の音源定位は周波数1500Hz未満の音に対し精度が高い。音源定位の低音優位が成立する聴覚系の水準を確認するため,本研究では帯域通過クリック音による誘発電位を分析した。【方法】16名の参加者に対し低域通過クリック音(<1000Hz)または高域通過クリック音(2000Hz<)を音圧30dB SL(白色雑音38dB Aの両耳提示下),SOA180 msで提示した。刺激提示耳(両耳・左耳・右耳)を無作為化した条件と固定化した条件を設けた。両耳刺激波形,単耳刺激の左右和波形,両耳刺激波形から左右和波形を引いた差分波形を算出した。【結果】両耳刺激波形と左右和波形において振幅上の低音優位(低域クリック>高域クリック)はPa波以降で見られた。一方,差波形の振幅における低音優位はNa波の差波形から見られた。【結論】水平方向の音源定位における低音優位は聴覚系のABRに対応する水準でなく,Na波に対応する水準で成立すると推測される。