日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター 事象関連電位

[P6-8] 精神病発症リスク状態における事象関連電位の縦断変化と臨床経過との関連

中島英1,2, 樋口悠子1,2, 立野貴大1,2, 笹林大樹1,2, 中村美保子1,2, 上野摩耶1,2, 水上祐子1, 西山志満子1,3, 高橋努1,2, 住吉太幹4, 鈴木道雄1,2 (1.富山大学 学術研究部医学系 神経精神医学講座, 2.富山大学 アイドリング脳科学研究センター, 3.富山大学 学術研究部 教育研究推進系 保健管理センター, 4.国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部)

【序論】事象関連電位は精神病性障害の診断的/機能的転帰の予測因子として期待されている。今回精神病発症リスク状態(ARMS)においてP300と持続長ミスマッチ陰性電位(dMMN)を縦断的に測定し、後の臨床指標との関連について調査した。【方法】30名のARMSを対象にP300、dMMN測定、症状評価(PANSS)、認知機能検査(BACS)を施行し、平均2.6年後に再検査を行った。本研究を行うにあたり当院倫理委員会の承認を得た。【結果】dMMN振幅は経過中に-0.75[μV](-7.4%)変化した。その変化量はPANSS陰性症状スコアの変化量と有意な負の相関がみられ(r=-0.461, p=0.010)、更にBACS総合得点の変化量と有意な正の相関(r=0.426, p=0.019)がみられた。P300にはこのような相関は認めなかった。【結論】MMN振幅は認知機能などの臨床症状とリンクして今後の機能的な変化を予測する生物学的な指標となりうる可能性が示唆された。