[P8-1] 手根管症候群の新しい重症度分類の提唱
【目的】手根管症候群(CTS)の既存の重症度分類は「感覚優位の障害」という前提で作られているが、これにあてはまらない例が少なからず存在することを我々は報告してきた。今回、この点を対策したCTSの新しい重症度分類を提唱する。【方法】臨床症候で定義されたエントリー基準を満たし、運動遠位潜時(DML)、示指順行性感覚神経伝導速度(SCV)を含む6つの検査が行われたCTSの160例160手(55.5±14.4歳、女性123例)を後方視的に抽出した。Smirnov-Grubbs検定により外れ値を除外し、回帰分析を行った。【結果】Blandらの重症度分類ではDML延長に次ぐ重症度に感覚神経活動電位(SNAP)消失が、次いでDML>6.5msが設定されているが、本検討ではDML6.5msに相当するSCSパラメータはSNAP振幅2uVであった。DML延長ないしSCV低下に次ぐ重症度の境界には、DML4.5msとSCV40m/sが適正と考えられた。【結論】順行性感覚神経伝導検査を用いる際のCTSの新たな重症度分類を提唱した。