[特別講演2] ICUにおける重症患者に対してのBedside EEG Monitoring : Critical Care EEG(ccEEG)
脳波記録はここ10数年間にAnalog EEGからDigital EEGに変換していったがその背景には大量のDataの敏速な処理、保存が可能とするComputer技術以外に、Video Monitorの解像力の進歩によって始めて実用化した。Digital EEGにより臨床脳波の応用に新しい時代を迎えた。Digital EEGはBed Sideでの自動的長期記録,更にVideoとの同時記録によりてんかん発作と脳波との関係をより詳しい解析を可能とした。長期脳波の利用は難治性てんかんの外科的治療の為の術前検査のみならず、急性期、特にICUでの意識障害のある患者に使用される様になった(Critical Care EEG, ccEEG)。 ccEEGの利用により高い頻度(20-40%)でてんかん発作が起こっている事が判明した。記録されたてんかん発作のうち大部分(>50%)が臨床的には無症状か,てんかん発作とは決められない非典型的な症状であったり,僅かな症状である為 ccEEGを施行しなければてんかん発作を見逃すことになる。 2012年にACNS(American Clinical Neurophysiology Society)がccEEGの為に新しい名称を提唱した。その名称によるとFast activity又はSpike/Sharp dischargeを含んだLPD(Lateralized Rhythmic Discharge), BIPD(Bilateral Independent Periodic Discharge), LRDA(Lateralized Rhythmic Delta Activity,BIRD(Brief potentially Ictal Rhythmic Discharge)等のInterictal Dischargeを認めた場合は高い頻度(~50%)でてんかん発作波(Ictal Discharge)が起こる。ccEEGの記録時間は症例によって異なるが48時間記録すれば約80-90%のてんかん発作が検出される。検出率は昏睡の方が昏睡ではない患者より多少低く、48時間以上記録する必要があるかもしれない。更に上記のてんかん発作が起こる可能性がたかいInterictal Patternを認めた場合にはは48時間以上の記録が必要かもしれない。脳波が1時間以内の記録で正常又は徐波のみの場合には長時間脳波によってどの確率でてんかん発作が検出されるかはまだ明らかにされていない。ccEEG はてんかん発作波の検出 以外に予後の推定、治療効果の判定にも利用される事もある。この講演ではICUで記録された各種のてんかん発作のVideo-EEGを提示する。