日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム12 レム睡眠行動障害研究の進歩

2020年11月26日(木) 16:30 〜 18:00 第8会場 (2F K)

座長:宮本 智之(獨協医科大学埼玉医療センター脳神経内科)、野村 哲志(のむらニューロスリープクリニック)

[SP12-4] パーキンソン病関連疾患に併存するRBDにおける神経生理学的側面

野村哲志 (のむらニューロスリープクリニック)

 レム期睡眠行動異常症(RBD)は夢内容を行動化することで患者本人やベットパートナーが怪我をしてしまう可能性の有る睡眠随伴症である。RBDは多系統委縮症(MSA)、レヴィー小体型認知症(DLB)、パーキンソン病(PD)等のパーキンソン病関連疾患でのprodromal symptomsとして注目されており、高率に進展することが報告されている。MSAにおいては診断における重要な症状として挙げられており、高頻度の合併が見られる。RBD症状、睡眠ポリグラフ(PSG)上のREM sleep without atonia(RWA)の存在はパーキンソン病関連疾患の中で、進行性核上性麻痺等のnon αシヌクレイノパチーとの鑑別に有用である。一方、DLBにおいても高頻度RBDを合併があり、2017年のDLBの臨床診断基準改定でRBDが中核的特徴に加えられ、PSG上のRWAの確認が指標的バイオマーカーに加えられた。DLBの経過においてはRBDがDLB診断前に症状出現することが多く、重要な徴候と考えられる。DLBは認知症を伴うPDと病理学的特徴はは共通しており、レヴィー小体病(LBD)として包括される。PDは最もRBDの関連の検討がされている。PDにおいてはBraak病理進展形式に一致する為PDの病前症状として注意されているが、PD発症後にRBDを出現する症例も見られる。PDにおけるRBDの臨床特性としては運動症状、嗅覚症状、起立性低血圧、MIBG心筋シンチ、幻覚症状と関連することが挙げられているが、最近認知症の進展が注目されている。RBDはパーキンソン病関連疾患との関連が示唆される中、MSA、DLB、PDでの注意すべき併存症状も示されており、注意しながらのフォローが必要である。