[SP19-4] TMSを用いた神経生理学的研究と精神科領域への臨床応用
TMSを用いた神経生理学的研究は、主に運動野をターゲットとした皮質脊髄路の神経生理学機能を調べるTMS-EMG研究が多く、脳神経内科・外科やリハビリテーション科領域を中心に1990年代以降盛んに研究がなされてきている。一方、運動野以外の主に前頭前野をはじめとした皮質機能に関しては、1999年にRisto Ilmoniemiが世界で初めてTMS-EEG装置を開発したのを皮切りに、その後デバイスおよび解析方法が徐々に改良され、特に2000年代後半からは健常者のみならず、精神疾患患者に対してもTMS-EEG神経生理計測が応用されるようになってきた。TMS-EEG研究は非常に専門性が高く、同領域の研究者人口も少ないこともあり、TMS-EEG関連研究は2020年9月時点で約210報くらいしか出版されていない。そこで、今回のシンポジウムでは、主に精神疾患を対象としたTMS-EEG神経生理研究を中心にエポックメイキングな研究をオムニバス形式で紹介し、TMS-EEG研究の現況と今後の展望について概説する。さらに、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室MTRラボで現在実施しているTMS-EEG-MRI研究についても一部紹介したい。