[SP7-2] ミスマッチ陰性電位における聴覚刺激の種類と精神疾患との関連
精神科の臨床場面では多くの場合、面接による生活歴の聴取や各種の心理検査などの情報を総合的に判断して、患者の病態を診断し診療が行われている。ミスマッチ陰性電位(MMN:Mismatch Negativity)は、そのような精神科臨床の中で精神疾患のバイオマーカーとして研究がなされている。これまでの研究ではMMNが音の違いを検出したときに発生するという特性上、様々な刺激課題を用いた結果が報告されている。実際に統合失調症患者に対するMMN研究では、メタ解析からその有用性が示唆されている。実際の研究からは統合失調におけるMMNの減少が報告されている。より詳細に刺激の種類を考慮すると、持続長変化課題(dMMN: duration MMN)が統合失調症のtrait makerであるとされており、周波数変化課題(fMMN: frequency MMN)は進行性変化を反映するといわれている。双極性障害においてもMMNを用いた研究がなされており、統合失調と同様にバイオマーカーとしての可能性が示唆されている。実際にdMMNを用いた研究では統合失調と同様に健常者に比べて振幅低下が認められるという報告や潜時の延長を認めるという報告がなされている。今回のシンポジウムにおいては、上記のようなMMNと精神疾患の関係性について、逸脱刺激の種類に着目して概説する。くわえて当講座で行われているMMN研究についてその一部を報告する。