日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム9 てんかん発作時脳波を極める

2020年11月26日(木) 16:30 〜 18:00 第3会場 (2F B-2)

座長:中里 信和(東北大学てんかん学分野)、重藤 寛史(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 検査技術科学分野)

[SP9-1] 全般発作の脳波を極める

寺田清人1,2 (1.てんかんと発達の横浜みのる神経クリニック, 2.NHO静岡てんかん・神経医療センター)

国際抗てんかん連盟(ILAE)の1981年のてんかん発作分類は発作症状と脳波をもととした分類であり、それぞれの発作型における脳波が記載されていた。ILAEは2017年に新しい分類を作成したが、この分類は「単に観察された行動のみに基づいた分類」ではなく「実地臨床を反映し、発作型分類のために追加データの活用を許容」しているが、「脳波上の発作パターンに関する分類」ではないとも述べており、分類案から脳波についての記載は削除されている。ILAEの2017年分類ではてんかん発作は大きくは焦点起始発作と全般起始発作に分類される。全般起始発作とは、「両側大脳半球に分布するネットワーク内のある部分に発生し、それを急速に巻き込む発作」と定義されるが、全般起始発作はさらに全般運動発作と全般非運動発作(欠神発作)に分類され、全般運動発作の中に強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作、てんかん性スパズムが存在し、全般非運動発作の中に定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作、眼瞼ミオクロニーが存在する。これらの全般起始発作の多くでは、発作間欠期脳波および発作時脳波において、それぞれに特徴的な波形が存在するため、発作型診断やてんかん診断を行う際に脳波を評価することは臨床的に非常に有用である。本講演ではそれぞれの発作に伴う脳波を供覧し、それぞれの特徴について検討する。