日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム9 てんかん発作時脳波を極める

2020年11月26日(木) 16:30 〜 18:00 第3会場 (2F B-2)

座長:中里 信和(東北大学てんかん学分野)、重藤 寛史(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 検査技術科学分野)

[SP9-2] 焦点発作の頭皮脳波

神一敬 (東北大学大学院 医学系研究科 てんかん学分野)

焦点発作の発作起始にみられる頭皮脳波変化は以下のA~Dの4つに分類される。また、その後の脳波変化として、継時的に振幅が増大、周波数が減少(あるいは増加)、分布が拡大する進展パターン(evolving pattern)が特徴的である。A. 律動性徐波:分布は片側性あるいは両側性、広汎性あるいは焦点性である。側頭葉てんかんの焦点意識減損発作では、発作起始から遅れて30秒以内に、焦点側の側頭部に5-9Hzのシータ~アルファ律動(いわゆるdelayed theta)がみられることが特徴的とされている。我々は遅れてみられる5-9Hzの律動に先行する発作起始の律動の周波数に着目し、発作起始に1-4Hzのデルタ律動を認め、10~30秒後に5-9Hzのシータ~アルファ律動を認める脳波パターンをinitial delta and delayed theta/alpha(ID-DT)patternと命名し、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんの中でもてんかん原性が海馬に限局していることを示唆する所見であることを報告した。B. 基礎律動の平坦化・減衰:低振幅速波を伴う場合と伴わない場合がある。分布は片側性あるいは両側性、広汎性あるいは焦点性である。C. 反復性棘波:分布は通常、片側性で、焦点性である。D. 脳波変化がみられない。本発表ではこれらの脳波所見の実例を提示しながら概説する。