[WS3-4] 両下肢感覚障害, 脛骨神経F波潜時延長が緩徐に進行した70歳男性の一例
【症例】70歳男性. 【既往歴】高血圧症、高尿酸血症. 【現病歴】X-3年頃から右足底小趾側のビリビリとした異常感覚を自覚し, その範囲が足底全体まで徐々に拡がり, X-1年には左足底にも同様の異常感覚を自覚した.【神経学的所見】筋力低下はなく, 両側アキレス腱反射の消失, 両下肢足関節以遠での右優位の触覚・振動覚の低下, 両足背外側と足底全体での異常感覚を認めた。【血液検査】血算: 異常なし. 生化: K 4.5 mEq/L, HbA1c 6.0%, Vitamin B1 35 ng/mL, Vitamin B12 537 pg/mL. 免疫: ANA(-), PR3-ANCA(-), MPO-ANCA(-), GM1-IgM(1+).【髄液検査】細胞数3 /mm 3(poly), 蛋白 93 mg/dL.【神経伝導検査】右優位に後脛骨神経のCMAP振幅低下, 両側後脛骨神経F波最短潜時の軽度延長, 両側右側優位の内側・外側足底神経, 腓腹神経, 浅腓骨神経(内側足背皮神経・中間足背皮神経)でのSNAP振幅低下.【両側母趾外転筋記録MEP】両側にて馬尾神経伝導時間の延長(4.4/5.2 ms). 【脛骨神経足関節刺激SEP】N8,P15は導出されるが、N18, 20, 21およびP30の導出不良.【nEMG】右前脛骨筋および右腓腹筋における慢性神経原性所見. 【MRI】供覧【論点】診断は何か. 臨床症状, 神経学的所見, 諸々の検査結果から疑われる局在診断および実際の病態との解剖学的関連性を考察する.