セッション情報
シンポジウム
シンポジウム 1 働きやすさと健康を両立できる勤務体制の設計
2023年5月10日(水) 13:30 〜 15:30 第2会場 (ライトキューブ宇都宮 3F 中ホール東)
座長: 高橋 正也(労働安全衛生総合研究所・過労死等防止調査研究センター)
【医(専)、看】
どのような勤務体制の下で働くかによって,健康,安全,労働生活の質は大きく変わります。自らの仕事にエンゲイジしたり,家族・私生活を充実したりすることが重視される今は,勤務体制をより魅力的なものに改善することが求められています。このシンポジウムでは,いくつかの勤務体制を取り上げ,それぞれの短所を少なくし,長所を伸ばすために,なにが必要かを討議いたします。
第一席は「フリーランスの労働安全衛生-2021/2年度厚生労働科学研究から」と題して,横山和仁先生(国際医療福祉大学大学院・公衆衛生学専攻)からご発表いただきます。フリーランスで働く者(自身で事業等を営む,従業員の雇用なし,実店舗なし,非農林漁業従事者)2,750人を対象とした上記の調査研究によれば,フリーランスという働き方には長時間労働,心身の健康問題,有害物質に関する教育・訓練なしの有害業務,墜落や交通事故等の業務災害,発注・受注や労働者性に関わる取引上の問題が伴っていました。
第二席は「在宅勤務と健康:勤務時間外の業務連絡の問題」について,池田大樹先生(労働安全衛生総合研究所)からご解説いただきます。新型コロナウィルス感染症の世界的流行は在宅勤務の“強制的”導入・実施につながりました。在宅勤務にはいくつもの利点がある一方で,仕事とそれ以外の生活とを分けにくいという難点もあります。特に,定められた勤務時間ではない時間帯に業務に関連したメール等が届くと,その問題はより深刻になる可能性があります。今回は在宅勤務と勤務時間外の業務連絡という視点から,心身の健康や集中力に関する調査データが示されます。
第三席は「裁量労働制適用者の働き方と健康~自律的に働くことと健康確保の両立に向けて」に関して,池添弘邦先生(労働政策研究・研修機構)から,ご紹介いただきます。(専門業務型・企画業務型)裁量労働制では,労働時間は労使協定や労使委員会の決議で定めた時間となり,仕事の進め方や時間配分等は労働者自らの裁量で決めます。在宅勤務と同様に,裁量労働制にも一長一短があります。労働政策研究・研修機構による調査や労働安全衛生総合研究所と共同で行っている過労死等研究等の知見に基づいて,裁量労働制適用者が真に「自律的に」働ける条件が提案されます。
第四席は「休み方から考える新たな疲労管理の視点:交代勤務における睡眠マネージメントの重要性」として,久保智英先生(労働安全衛生総合研究所)より,ご報告いただきます。常日勤に比べて夜勤交代勤務が厳しいものであることはよく知られています。24時間化社会では夜勤交代勤務が不可欠ですので,証拠に基づいた対策が重要になります。これまでの対策指針と交代勤務看護師を対象としたご自身の調査結果から,休み方,とりわけ夜間にとる睡眠に着目した新たな対策案が議論されます。
横山 和仁1 (1.国際医療福祉大学大学院・公衆衛生学専攻)
池田 大樹1 (1.(独)労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
池添 弘邦1 (1.独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
久保 智英1 (1.独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所)