第96回日本産業衛生学会

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シンポジウム

シンポジウム 6 産業保健に役立つ日本人の生活習慣病のエビデンス

Wed. May 10, 2023 1:30 PM - 3:30 PM 第4会場 (ライトキューブ宇都宮 2F 大会議室201)

座長: 林 朝茂(大阪公立大学大学院医学研究科産業医学), 三浦 克之(滋賀医科大学 NCD疫学研究センター)

【医(専)、看】

産業保健の現場は、生活習慣病の予防対策を実践するうえで最適の現場です。適切な産業保健活動を実践するためには、日本人を対象とした生活習慣病のエビデンスに精通することは極めて重要です。本シンポジウムは、「産業保健に役立つ日本人の生活習慣病のエビデンス」として、循環器疾患、家庭血圧、がん、2型糖尿病の各分野で日本の疫学研究を牽引してきた疫学の専門の先生方にご講演頂きます。

 まず初めに、滋賀医科大学NCD疫学研究センター教授の三浦克之先生に、日本での循環器疾患の予防のエビデンスをご紹介いただきます。三浦先生は、NIPPON DATA 80/90/2010、SESSA(滋賀動脈硬化疫学研究)、INTERMAP / INTERLIPID(栄養と血圧に関する国際共同研究)、EPOCH-JAPAN(循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究)などをはじめとした我が国の多くの循環器疫学研究を中心的に牽引されてきた先生です。

次には、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座教授の大久保孝義先生に、家庭血圧のエビデンスをご紹介いただきます。現在では、個人が家庭で測定する家庭血圧が診察室で測定する血圧よりも優れた臨床的指標であることが明らかとなり、世界的に普及した家庭血圧測定ですが、この家庭血圧のエビデンスを確立したのは、東北大学のチームが行ってこられた大迫研究からです。大迫研究はまさに家庭血圧の世界基準を生んだ疫学研究です。大久保先生は、この大迫研究の中心的役割を担ってこられた先生で、この分野を世界的に牽引してこられた先生です。今回は、家計血圧に関するエビデンスをその歴史と共にご解説頂きます。

 次に、国立がん研究センターがん対策研究所コホート研究部 室長の澤田典絵先生に、日本人のがん予防のエビデンスをご紹介いただきます。澤田典絵先生は、多目的コホート研究(JPHC Study)・次世代多目的コホート研究に携わってこられた先生で、現在の両研究の研究責任者の先生です。多目的コホート研究(JPHC Study)・次世代多目的コホート研究は、ともに日本を代表するがん疫学を中心とした疫学研究です。今回は、日本人のがん予防のエビデンスを詳細にご解説頂く予定です。

 最後に、大阪公立大学大学院医学研究科産業医学教授の林朝茂が、職域コホート研究のエビデンスとして、The Osaka Health SurveyとThe Kansai Healthcare Studyから2型糖尿病の発症予防に関するエビデンスを紹介します。日本人の2型糖尿病のエビデンスの多くがこの2つの職域コホートから生まれています。また、日本人の将来像(今の姿?)ともいうべき米国在住の日系人を対象にしたJapanese Americans Community Diabetes Study(米国日系人糖尿病研究)から、2型糖尿病と内臓脂肪疫学のエビデンスをご紹介させて頂きます。

 本シンポジウムを通じて、産業保健の現場で役立つエビデンスを皆様と共有し、ご一緒に学ぶことができればと考えております。