第97回日本産業衛生学会

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シンポジウム

シンポジウム 2 働く人々の疲労リスク管理を考える:新版疲労蓄積度自己診断チェックリストの活用と展開

Thu. May 23, 2024 1:40 PM - 3:40 PM 第2会場 (広島国際会議場 B1F ヒマワリ)

座長: 下光 輝一(公益財団法人健康・体力づくり事業財団), 堤 明純(北里大学医学部公衆衛生学単位)

共催:産業疲労研究会

「働く人々の疲労リスク管理を考える:新版疲労蓄積度自己診断チェックリストの活用と展開」||日本産業衛生学会は、過重労働による健康障害が社会問題化するなかで1992年に「循環器疾患の作業関連要因検討委員会」を立ち上げ、様々な議論を経て1998年に職場における過重労働対策について長時間労働の制限などを含めた包括的な提言を行った。その中で「労働者の労働状態や疲労・過労状態を把握できる質問紙調査を行い、医師や保健師等が問診で確認すること」という提言が盛り込まれた。|2001年になり、厚生労働省はようやく「脳血管疾患及び虚血性心疾患等認定基準」の改定を行い、それまでの災害主義的な認定基準に対して、「発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと(長期間の過重業務)」が付け加えられた。2002年には、この新たな認定基準を踏まえて「過重労働による健康障害防止のための総合対策」通達を出した。それに伴い厚生労働省から中央災害防止協会への委託事業として「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」が作成され、2004年に公表された。このチェックリストは、労働者自身が自らの疲労・過労状態を把握・認識し対処してもらうと同時に、産業医などが過重労働面談の際に事前問診票として活用してもらうよう作成されたものである。その後このチェックリストは、現場で広く活用がなされてきたが、作成から20年近くが経過し、働き方改革の推進など働く人々を取り巻く環境も大きく変化してきたことから、2021年に「疲労蓄積度自己診断チェックリストの見直しに関する検討委員会」が厚生労働省から中央災害防止協会への委託事業として立ち上げられた。委員会では、近年の働き方の変化に合わせてより実態に即した形で労働者の疲労を把握し予防につなげることを目的として改訂が行われ、最終的に「新版疲労蓄積度自己診断チェックリスト」として2023年3月に公表された。新版は、新たな過重労働対策としての勤務間インターバルや、リモートワークの普及、疲労回復に必要な睡眠や食欲の問題、仕事の精神的負担の増大などの視点から改定が行われている。|本シンポジウムには、検討委員会に委員として参画した労働衛生研究者及び現場の産業保健スタッフの方々にご登壇いただき、それぞれの立場から、初版からの改定の経緯や、現場での様々な問題点、今後の有効活用、ならびに「疲労リスク管理」などについて議論を深めるよう企画された。加えて、この分野で比較的経験の浅い若手の産業保健スタッフにも参加していただき、職場での過重労働対策にかかわる日々の困りごとや悩みなどについても議論できれば幸いである。||