第97回日本産業衛生学会

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シンポジウム

シンポジウム 18 LGBTQ+労働者に産業保健はどう向き合うべきか

Sat. May 25, 2024 1:40 PM - 3:10 PM 第1会場 (広島国際会議場 B1F フェニックスホール)

座長: 江口 尚(産業医科大学産業生態科学研究所産業精神保健学研究室), 中澤 祥子(東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学)

本シンポジウムでは、なぜ今、産業保健職がLGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニング、その他)労働者の課題に取り組むべきなのかについての理解を深め 、産業医学、経営学、人事労務各分野から、我々が直面する課題に多面的にアプローチをしていく。|このシンポジウムで使用される可能性のある用語について予め説明を追加する。||・性的指向:恋愛感情や性的な関心がどの性別に向くか|・性自認:自分の性別のアイデンティティ|・レズビアン:女性のアイデンティティを持ち、女性に恋愛的・性的関心が向く|・ゲイ:男性のアイデンティティを持ち、男性に恋愛的・性的関心が向く|・バイセクシュアル:男性・女性どちらにも恋愛的・性的関心が向く|・トランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別とアイデンティティとする性別が一致しない状態を表す。対義語としてシスジェンダーがある|・クエッショニング:自分の性に関するアイデンティティが定まっていない(探求中である)、もしくは意図的に当てはめない|・クイア:シスジェンダーや 異性愛者ではない人を広く包括する概念であり、元々は蔑称であったものを当事者達が権利獲得のために肯定的な意味合いを持たせて使用してきた用語|・アライ:LGBTQ+を理解し支援する人|・カミングアウト:性的マイノリティが自らの性の在り方を自覚し、他者に開示すること|・アウティング:本人の性の在り方を同意もなく第三者に曝露すること。||まず江口先生の講演では産業医・産業保健職としての戸惑いを率直に問題提起していただく。自分の知識がないために、当事者への接し方に自信が持てないという経験はだれでも起こりうると思う。まずはこのトピックを皮切りに、シンポジウムに感情移入するきっかけとしてほしい。2番目の山田先生の講演では、経営者の立場から、多様な価値観を受け入れ事業を成長させていく方法を提示していただく。実際の企業ではここまで多様性への理解が進んでいないかもしれないが、我々産業保健職がどのように経営層にアプローチをすべきかを学んでいきたい。3番目の李先生からは社労士の目線で発表をいただく。アウティングなどのハラスメントが発生することがあり、当事者の社会生活に悪影響を及ぼしている。このようなハラスメントの実態と産業保健職が果たすべき役割をお話しいただく。4番目の垣本先生は産業保健支援職によるLGBTQ+コミュニティを運営している。LGBTQ+当事者が直面する健康格差について提示し、今後産業保健職としてどのように当事者を支援するかをお話しいただく。||日本産業衛生学会としては初のLGBTQ+に関するシンポジウムである。これを一時的な活動に留めてはならないと感じている。参加した1人1人がこの課題について深く考える時間にしたい。|