岩﨑 賢一1 (1.日本大学医学部 社会医学系衛生学分野)
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シンポジウム
シンポジウム 24 産業衛生×宇宙 ~来たるべき未来を見据えたキックオフ~
Sat. May 25, 2024 1:40 PM - 3:40 PM 第4会場 (広島国際会議場 B2F ダリア2)
座長: 暮地本 宙己(東京慈恵会医科大学細胞生理学講座宇宙航空医学研究室), 鈴木 優子(トヨタ自動車株式会社 安全健康推進部 産業医、トヨタ記念病院 救命救急センター)
2024年1月、小型月着陸実証機「SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)」が世界初のピンポイント月着陸に成功したのは記憶に新しいのではないでしょうか。日米両政府は2023年1月、NASA(米航空宇宙局)で日米宇宙協力協定に署名し、米主導で有人火星探査も視野に入れた月面探査のアルテミス計画を推進しています。内閣府は宇宙産業を日本経済における成長産業とするため、国内市場規模を2030年代早期に4兆円から8兆円に倍増すべく「宇宙基本計画及び工程表(令和5年度改定)」を示し、宇宙戦略基金として令和5年度補正予算にて3000億円を措置しています。また、民間企業で一般人の宇宙飛行が行われるようになり、地球周回低軌道上での商業宇宙ステーションの構想も出ている今、宇宙を職場とする従業員や地上で関連業務を行う従業員が増えることが予想されます。宇宙産業における産業衛生とはどのようなものか、考え始めるべき時期にあるでしょう。| 宇宙空間は微小重力や宇宙放射線、閉鎖隔離環境など地上とは異なる環境下にあります。月面ではレゴリスという細かく尖った月の砂によるじん肺症類似のリスクが懸念されたり、有人宇宙開発においてダイバーシティの観点が広がっていたりなど、検討すべき課題が幅広く提起されています。現在、JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、宇宙飛行士の健康管理を行うフライトサージャン(航空宇宙医学専門医)が従事しています。専門の医療支援チームが構築され、宇宙飛行士の選抜から引退後まで長期に渡り心身のサポートを行います。一方で、宇宙産業が発展した場合、一般企業の従業員が宇宙で働き、その企業の産業医が携わる未来も想定されます。宇宙というフィールドでは、どのような産業保健が求められ、どのような課題があるでしょうか。また、これまで宇宙飛行士の健康管理において蓄積されてきた知見は、どのように地上の産業医学に生かせるでしょうか。 | このシンポジウムでは、まず宇宙医学の概論を日本大学医学部社会医学系衛生学分野 教授・日本宇宙航空環境医学会 理事長の岩﨑先生にお話いただきます。続いて、実際の産業医業務についてJAXAのフライトサージャン・産業医の速水先生と、三菱重工業(株)産業医の石川先生にそれぞれの立場での業務や課題をご発表いただきます。その後、フロアの皆さまからの質疑応答とともに総合討議を行い、これからの宇宙産業における産業衛生を考えるキックオフの場にできたらと考えます。みなさまのご参加をお待ちしております。|
速水 聰1 (1.国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 宇宙飛行士健康管理グループ)
石川 浩二1 (1.三菱重工業(株)大江西健康管理チーム)