第97回日本産業衛生学会

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シンポジウム

シンポジウム 10 未来を創る大規模工事のための安全衛生のあり方

Fri. May 24, 2024 3:50 PM - 5:50 PM 第3会場 (広島国際会議場 B2F ダリア1)

座長: 久保 達彦(広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学), 吉田 美昌(富士フイルムマニュファクチァリング株式会社、公益財団法人三重県建設技術センター)

国土交通省のインフラ政策では、経済成長・地域社会活性化を牽引するインフラの集中整備、防災目的や国民経済・生活支持目的の重要インフラ等の機能強化など様々な目的での大規模工事が各地で計画されている。これらの大規模工事の中には、高度な技術が必要なものも多く、特に次世代の大都市間旅客輸送の要となるリニア中央新幹線計画のように大深度地下工事が主体となるものもある。このインフラ整備を支える担い手は建設業であり、未来の日本を創り支える大役を負っている。|建設業における労働災害の発生状況は、危害防止基準等が年々充実強化されるとともに、建設業者等による長年にわたる自主的な労働災害防止活動と相まって、労働安全衛生法が制定された昭和47年当時と比較すると長期的には減少傾向にある。しかし、ここ10年ほどはその傾向も停滞基調にあり、令和4年の労働災害発生状況は、死亡者数281人、休業4日以上の休業者数14539人となっており、他業種に比べて労働災害の発生率が高い。特に労災による死亡者数は全産業に占める割合が36%と依然高く、過労死数(自殺者数)も減少していないのが特徴である。| このような中、令和5年第14次労働災害防止計画が策定される時期とあわせて、国土交通省は「建設業を巡る現状と課題」を、厚生労働省は「令和5年度における建設業の安全衛生対策の推進に係る留意事項」を発出するとともに、両省より「建設業における安全衛生をめぐる現状について」(令和5年2月)を発出し、建設業における安全衛生対策に力を入れている。|技術の進歩により工事の安全性は年々高まっているとはいえ、作業者の高齢化も見込まれ、このような大規模工事には安全衛生上の様々なリスクが伴うため、作業者の安全衛生に関する予防的な対策、そして有害事象や重大事故発生時の早期対処の備えも必要になる。|そのため本シンポジウムは、大規模工事作業者のための安全衛生のあり方について、産業医学的視点に加えて、救急医学的視点からも検討を加え、それぞれの立場から多角的に意見交換する機会として設定された。| まずは、大規模工事の実態を理解するために、日本中の注目を集めているリニア中央新幹線計画につき企業の立場からご講演いただく。次に、災害発生時に対応する救急医学専門の立場から、そして過労死・過労自殺について産業衛生研究の立場から、さらに実際に建設会社で健康管理を行っている産業医の立場から、それぞれご講演いただく。最後に、未来を創る大規模工事現場のための安全衛生のあり方について意見交換し、議事を終えたい。|本シンポジウムが、我が国における大規模工事作業者のための安全衛生のあり方について、エポックメイキングなものとなることを期待する。