第97回日本産業衛生学会

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シンポジウム

シンポジウム 23 地域-多職種連携で拓く口腔から始まる全身健康へのアプローチ

Sat. May 25, 2024 9:00 AM - 11:00 AM 第4会場 (広島国際会議場 B2F ダリア2)

座長: 小山 茂幸(山口県歯科医師会), 内藤 真理子(広島大学大学院医系科学研究科口腔保健疫学)

「このお口の状態で、この人はこれから30年、ちゃんと生きていくことができるだろうか。」 これが、山口県のとある産業医が退職前健診で、口の中を見た感想です。歯が抜けたままになっていたり、グラグラであったり、むし歯で大きな穴があいていたのでしょう。そのために、私のところに電話があり、こういう人たちをなんとかしたい、|一緒に対策を考えよう。と誘われ、日本産業衛生学会に入会しました。その際に感じたのは、産業医の先生方は、労働安全衛生法に基づく歯科の特殊健診についてはもちろんご存知だが、歯科分野のう蝕、歯周病については馴染みがないという現状でした。| ちょうど同じ時期に、山口県歯科医師会では、山口県と民間企業と連携して、「健口スマイル推進事業」を展開していました。この事業は、公的機関と民間企業、それぞれが持つ特性や知見を連携・融合させ、「健康と笑顔は口元から」を合言葉に、口腔衛生意識の向上を通じ山口県民の健康寿命の延伸を応援する取り組みです。| 具体的には、| ・学校から家庭、職場における口腔ケア意識を定着化させ健康寿命の延伸を応援する。| ・かかりつけ歯科医の定着による歯科定期健診の充実を目指す。|という2つが大きな目標になります。|この事業の中で、就労世代の口腔健康管理を如何に行うか、そして、その人たちにどのように伝え実践してもらうかを手探りの中で行政や関係団体と考えていきました。|施策としては、山口県の健康経営の認定基準の中に「歯と口の健康を実践している」項目を追加し、また健康経営を実践している企業に、昼歯磨きの実践率向上に向け実証実験をしました。さらに、産業保健師に向けて、講演会を開催するとともに保健師が活用できるパワーポイント資料を作成しました。このような中、さらに啓発を進めるために、産業医の先生との連携はありがたいものでした。|就労者は、所属している企業規模や環境など様々であり、産業医、産業歯科医、産業保健師、看護師、歯科衛生士がいるところもあればいないところもあります。だからこそ、このシンポジウムでは、職場環境の異なる行政、健保組合を有している企業、協会けんぽの企業、そして、企業での口腔健康を支援している団体からシンポジストを招聘しました。シンポジストの職種は医師、歯科医師、保健師、歯科衛生士です。シンポジストの初打ち合わせ会では、各々の立場からの発言が私自身たくさんの学びとなりました。そのため、本シンポジウムは討論の時間を長く取り充実した内容にしたいと考えています。今から口腔の健康管理を始めるにあたり何をしたら良いかわからない企業、始めたけどこのまま進めて良いのか悩んでいる企業、全ての企業の悩みを一気に解決できるシンポジウムとなることを目指します。|就労者のための「口腔の健康から全身の健康へ」ヒント盛りだくさんとなっています。さあ、簡単なこと、出来ることから新たな挑戦を始めましょう!|