第98回日本産業衛生学会

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シンポジウム

シンポジウム 20 エビデンスに基づいたヘルスケアサービス選択の実装に向けて

Sat. May 17, 2025 11:15 AM - 12:45 PM 第2会場 (仙台国際センター 展示棟 1F 会議室1+会議室2)

座長: 堤 明純(北里大学医学部), 里見 智美(国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 医療機器・ヘルスケア事業部ヘルスケア研究開発課)

 近年、健康長寿社会の実現に向けて、公的保険や保健制度のみならず、公的制度外のヘルスケア製品・サービスへの関心が高まっています。そのような機運をうけて、また昨今のデジタル技術の発展により、ヘルスケアアプリなどの製品・サービスが多数上市されていますが、これらヘルスケアサービスは、医薬品等と比較して科学的エビデンスに基づいたサービスの開発と選択の両面で未成熟な状況にあります。例えば、サービス開発者にとっては、どのようなエビデンスを示すべきか整理されていなく開発の指針がなく、サービス利用者にとっては、予防サービスでどの程度のエビデンスが構築されているか、どのような価値や指標で評価をすべきか不明瞭であり、選択が困難であるという課題です。
 そこで、AMEDは令和4年度より「ヘルスケア社会実装基盤整備事業」を開始し、予防・健康づくりの行動変容介入の科学的エビデンスの整理と指針策定、加えて研究方法の開発といった基盤整備に取り組んでいます。本セッションでは、まず経済産業省から、ヘルスケア社会実装基盤整備事業の全体像と成果の見通し、そして実装における課題、今後の展望などについてご紹介頂きます。続いて、職域での健康問題として、女性の健康、婦人科疾患、メンタルヘルスをとりあげ、関連学会が連携して取り組んだこれらの領域の非薬物的介入の予防効果に関するレビューおよび指針についてご紹介いただきます。これらの指針策定おいては、Mindsの診療ガイドラインの策定方法を参照しながら、予防・健康領域特有の課題を考慮しつつ、ヘルスケアクエスチョンを選定し、システマティックレビューを行い、学会としての推奨を出して頂きました。本指針は、臨床の診療ガイドラインがその利用者として想定する医療保健従事者のみならず、サービス開発・提供事業者や健康経営企業や自治体などのサービス利用者を読者として想定して作成したものです。科学的エビデンスに基づいた予防・健康づくりの行動変容介入、指針の活用について、みなさまと議論を進めたいと思います。


【略歴】
堤 明純
1987年自治医科大学医学部卒業。福岡県内医療機関にて地域医療に従事後、1997年久留米大学医学部助手(環境衛生学講座)、2000年久留米大学医学部講師(環境衛生学講座)、2001年岡山大学大学院助教授(衛生学・予防医学分野)、2006年産業医科大学教授(産業医実務研修センター)を経て、2012年より北里大学医学部教授(公衆衛生学)。

鈴木 友理子
1996年山形大学医学部卒、2000年山形大学大学院卒、2003年UCLA公衆衛生大学院卒、精神科臨床、疫学研究等に従事後、2018年より国立研究開発法人日本医療研究開発機構勤務し、2021年より現職。