山本 健也1 (1.独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム 25 化学物質リスクアセスメント結果の読み解き方:産業保健職の実務に活かすための視点
2025年5月17日(土) 16:30 〜 18:30 第5会場 (東北大学百周年記念会館 2F 川内萩ホール)
座長: 川上 貴教(北海道大学 安全衛生本部), 色川 俊也(東北大学環境・安全推進センター / 大学院医学系研究科産業医学分野)
「化学物質の自律的な管理」と呼ばれる段階的な法改正が始まって2年余りが過ぎた。制度としては定着しつつあるものの、この制度の肝にあたる化学物質のリスクアセスメントに関連する事項については、必要以上に難しく捉えられる機会も多いようにみえる。
こんなときこそ「何のために何をするのか」という基本に立ち戻り、産業保健職として自信をもって臨んでいただきたい。労働災害の防止が目的であれば、対象が化学物質であろうと他の因子であろうと、ハザードを特定し、リスクを見積もったうえで、被害を及ぼさないように管理することに変わりはない。化学物質はそのハザードが直観的には判別しにくいという特徴があるからこそ、リスクを定量評価する手法として化学物質のリスクアセスメントが注目されているにすぎない。
リスクを定量評価する目的は、それを許容可能なレベルまで引き下げ、被害発生を防ぐことにある。リスクを引き下げる手法も、従来の三管理の技術で充分対応できる。どうか、確認測定やリスクアセスメント健診などの新しい概念や用語に振り回されずに、本質を思い出してほしい。有害物の気中濃度が高そうであれば、ばく露状況の確認のために実測するのも、無視できないばく露があれば健康影響を評価するのも、いずれも三管理の考え方に沿ったものである。
本シンポジウムでは、産業医、労働安全衛生コンサルタント、産業歯科医、産業保健師といった多様な立場の産業保健職が登壇し、それぞれの視点から、化学物質リスクアセスメントの実務への活用について解説する。本シンポジウムが、皆様が化学物質リスクアセスメントを実務で適切に活用し、職場環境等の改善に役立てるための一助となれば幸いである。
阿部 裕一1 (1.阿部産業安全衛生事務所)
木下 隆二1 (1.木下労働衛生コンサルタント事務所)
髙木 智子1 (1.株式会社 コーセー ライフ&ウェルネスサポートセンター ウェルネス推進室)