柳場 由絵1 (1.独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム 10 労働衛生保護具を科学する~労働衛生保護具の基本的研究と実装~
2025年5月16日(金) 16:30 〜 18:30 第3会場 (仙台国際センター 展示棟 1F 会議室3)
座長: 土肥 誠太郎(株式会社MOANA土肥産業医事務所), 津田 洋子(帝京大学大学院公衆衛生学研究科)
令和6年4月1日より「労働安全衛生規等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号、令和4年5月31日交付)」が全面施行された。これにより、化学物質のリスクアセスメントの結果に基づく個人用保護具(以下、保護具)の使用や、保護具着用管理責任者の選任が求められることとなった。昨年度の本学会総会では、本省令改正における保護具の位置付けや現状についてシンポジウムの機会をいただき、呼吸用保護具の国際的動向、ばく露低減対策における保護具の位置付け、疫学調査、皮膚障害等化学物質と化学防護手袋の話題を取り上げた。
保護具はそれぞれ、エビデンスに基づいて設計されており、ばく露状態に対応した保護具を選択しなければ十分な効果は得られない。有害物質のばく露防止対策は「代替え・隔離等」の工学的対策や、「作業時間の短縮」等の作業要素への対策が優先されるが、これらのばく露低減対策を補完するものとして保護具が活用される。また、非定常作業や災害発生時に備え、適切な保護具を事前に準備することも重要である。
保護具によるばく露低減対策を実施する際には、保護具の選択・使用・保守管理を正しく行うことが重要である。不適切な保護具の選択・使用は使用者のばく露防止に寄与しないばかりか、ばく露リスクを増大させる可能性もある。
本シンポジウムでは、経皮および経気道ばく露に焦点を当て、4名のシンポジストにご登壇いただく。化学物質の経皮吸収と化学防護手袋の耐透過性を柳場由絵氏、化学防護手袋の透過性評価と選択・使用における周知指導活動を青木隆昌氏、呼吸用保護具の検定機関の役割と将来性を蔵野理一氏、呼吸用保護具のエビデンスと個々の事業場で選任される保護具着用管理責任者について東久保一朗氏にご発表いただく。本シンポジウムが、保護具に関する研究の知見を実装へと発展させ、研究者と実務家が共に議論を深める場となることを期待する。
青木 隆昌1 (1.九州工業大学)
蔵野 理一1 (1.公益社団法人 産業安全技術協会)
東久保 一朗1 (1.産業医科大学)