松浦正朗, 岡田芙実子, 馬場正英, 大森桂二 (福岡口腔インプラント研究会)
セッション情報
イブニングセミナー
イブニングセミナー5
超高齢社会に向けての歯科インプラント治療に向き合う
2019年9月21日(土) 17:30 〜 18:20 第9会場 (福岡国際会議場 5F 502+503)
座長:林 秀樹(福岡口腔インプラント研究会)、清野 政孝(福岡口腔インプラント研究会)
福岡口腔インプラント研究会
講演1 “過疎高齢化が進む地域におけるインプラントメインテナンスへの通院における問題点”
Problems of Patients Attendance for Dental Implant Maintenance in the Depopulated and Aging Areas of Kyushu japan
過疎高齢化が進行している地域の歯科診療所におけるインプラントのメインテナンスへの通院状態を調査したところ約80%がメインテナンスに通院していた.40代の患者は受診率が低く,転居と多忙が原因であった.70代以上の高齢者の通院率は高かったが,ほぼ全員が車で通院しており今後は大きな問題点になる可能性ある.
講演2 “歯を失わないための歯と歯周のメインテナンスはどうしたらよいか?歯科医師と歯科衛生士の歯と歯周の状態の調査”
How to Instruct General Publics for Dental and Periodontal Maintenance? Investigation of the Dental and Periodontal Status of Dentists and Dental Hygienists
225名の歯科医師(68名)と歯科衛生士(157名)の歯と歯周の状態を調査した.彼らの平均現在歯数は27.3±1.4本,PD 4 mm以上の部位の保有率は6.1±12.7%,BOP(+)の部位の保有率は12.1±15.2%で,高齢になっても対象者の歯と歯周の状態は安定していた.彼らのセルフケアの方法は歯を失わないための指標となると思われた.
講演3 “インプラント補綴物の長期安定のためにインプラント破折をどう防ぐか?”
How to Prevent Dental Implant Fractures for Long-term Stability of Implant Prostheses?
本研究会の10施設で4392名の患者に埋入した9814本のインプラントのうち17本(0.18%)が破折した.破折までの期間は21~127カ月年で,破折の原因は金属疲労と思われた.破折率は低かったが,今後,現在問題がないインプラントも破折を起こす可能性があり,治療計画の段階でインプラントに過度のストレスが掛からない設計をする必要があると思われた.
講演4 “超高齢社会でのオーバーデンチャーの活用‐インプラントオーバーデンチャーの多施設調査の結果”
Application of Implant Overdentures in Super-aging Society; Results of Multi-center Study of Implant Overdentures
過疎高齢化を迎えた社会における無歯顎の補綴治療はオーバーデンチャーが最適と考えられる.本研究会の10施設でのオーバーデンチャーについて検討した.
対象施設において2019年3月までにIODが装着された下顎無歯顎あるいは多数歯欠損症例を対象とした.調査項目は患者年齢,性別,インプラント体及びアタッチメントの種類,インプラント体残存率,アタッチメント及び上部構造の破損,修理,再作成の有無及び使用期間である.その各項目において若干の考察を得られたので報告する.