The 48th Japanese Society of Oral Implantology

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モーニングセミナー

Usefulness of the tooth autotransplantation ~Especially in comparison with dental implant~

Sun. Sep 22, 2019 8:00 AM - 8:50 AM Room5 (福岡国際会議場 4F 409+410)

Chair:Motomasa Itabashi(Institute of Hokkaido Plastic Dentistry)

北海道形成歯科研究会

 歯を喪失した場合,何らかの方法を用いて咬合再建を行うことになる.その方法として,義歯,ブリッジ,デンタルインプラントが挙げられ,近年ではデンタルインプラントは一般的な咬合再建法として確立したものとなっている.歯の移植も咬合再建法の選択肢の一つとして考えられるが,予知性が明らかでないこと,予後に影響を与える因子が沢山あること,手術手技が煩雑なことなどから他の治療法と同等な手法として位置づけられているとは言い難い.しかしながら,歯の移植が成功裡に行われれば天然歯による咬合再建が達成され,その恩恵は少ないものではない.今回は,歯の移植の有用性に関し,とくにデンタルインプラントと比較して解説を行う.歯の移植の最大の有用性は,根未完成歯をドナーとすれば高い確率で歯髄の治癒が期待でき生活歯での咬合再建が可能であるという点である.その他の歯の移植の有用性の多くは歯根膜の存在によるものである.以下にその詳細を示す.歯周組織の再生:歯槽骨をはじめとした歯周組織の再生が期待できるので,骨欠損が大きい症例や上顎洞までの距離が少ない症例でも骨移植を行わずに移植が可能である.歯根膜の感覚機能の回復:噛み心地の回復や咬合力の調整が可能で,ブリッジの支台歯として天然歯との連結が可能である.移植歯の移動が可能:移植後に矯正移動や生理的な移動ができる.その他に綴空隙が少なくデンタルインプラントで対応できない場合でも歯の移植で対応することが可能で,補綴学的な制約が少ないことなどが挙げられる.歯の移植とデンタルインプラントは決して相反する治療法ではなく,それぞれの利点を理解したうえで使い分けることが重要である.最後には歯の移植とデンタルインプラントの双方を適用した症例についても解説を行う.
 今回のレクチャーでは多くの臨床例を提示し歯の移植の有用性について再度考察する.