第49回公益社団法人日本口腔インプラント学会学術大会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム3
インプラントの撤去基準を多角的に考える

2019年9月21日(土) 14:15 〜 15:45 第7会場 (福岡国際会議場 4F 413+414)

座長:尾関 雅彦(昭和大学歯学部 インプラント歯科学講座)、細川 隆司(九州歯科大学 口腔再建リハビリテーション学分野/九州歯科大学附属病院 口腔インプラント科)

 歯科インプラント治療は,患者の体内に人工物を留置して機能回復を図る医療技術である. 整形外科領域での人工関節や眼科領域における眼内レンズ,耳鼻咽喉科における人工内耳なども医科領域におけるインプラントとして広く臨床で用いられ,患者の機能回復を図ることでQoLの向上に寄与している.これらのインプラント治療を行う医療判断においては,患者に埋め込む際の手術適用に関するガイドラインとともに,一旦患者の体内に留置した人工物の撤去(除去)手術の適用に関するガイドラインも,極めて重要なものであることは論を待たない.
 歯科インプラントの多くは,長期にわたって良好に口腔内で機能する.しかし,僅かな割合ではあるいが,様々なバリアンス(予期せぬ偶発症)に遭遇し,何らかの対応を必要とする歯科インプラントが増加してきているのは事実である.このような症例においては,残念ながらインプラントを一旦撤去(除去)し,再埋入する,あるいは別の方法で補綴装置を支持する,または,除去したまま経過を追う,といった医療判断が求められることがあるが,その判断における信頼できる診療ガイドラインやクリティカルアプレイザルはまだ提示されていない.インプラントの撤去(除去)に至る原因には,急性の病態と慢性の病態が関係しており,おそらくその2つを分けて議論する必要があろう.また,撤去(除去)を論じる場合,再埋入の可否,その術式等についても同時に議論されなければ,患者への適切な説明ができず,インプラント治療の社会的信頼を失うことになる.
 今回,3名のエキスパートの先生方にこの歯科インプラントの撤去(除去)について多角的に論じてもらうこととした.会場の先生方とも議論を深めながら,学会としての取り組みを前進させる端緒としたいと考えている.