The 39th Annual Meeting of Japanese Society of Oral Oncology

Presentation information

Educational Seminar

オンデマンド動画 » 教育セミナー5

教育セミナー5

Chairman:Yoshihiro Yamashita

[ES5-01] Tips for Oral Reconstruction at Shizuoka Cancer Center

〇Yoshichika Yasunaga1, Jun Araki1, Junichi Nakao1, Ishii Yoshitaka1, Mori Hiroaki1, Yonezawa Minami1, Watarai Aya1, Shota Kakinuma1, Nakagawa Masahiro2 (1.Division of Plastic and Reconstructive Surgery, Shizuoka Cancer Center, Nagaizumi, Japan, 2.Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu, Japan)


現職:
静岡県立静岡がんセンター再建・形成外科 部長
信州大学医学部 委嘱講師
東京医科歯科大学医学部 臨床教授

専門分野:
癌切除後の再建、頭頸部再建、乳房再建、リンパ管細静脈吻合術、顔面神経再建、外陰再建、マイクロサージャリー

学歴・職歴:
2002年3月 東京医科歯科大学医学部医学科 卒業
2002年5月 武蔵野赤十字病院 臨床研修医
2004年4月 東京医科歯科大学医学部附属病院形成外科 医員
2005年7月 武蔵野赤十字病院形成外科 医員
2006年7月 佐久市立国保浅間総合病院形成外科 医員
2007年7月 東京医科歯科大学医学部附属病院形成外科 医員
2008年4月 国立がんセンター東病院頭頸部外科 がん専門修練医
2010年4月 東京医科歯科大学大学院形成・再建外科学分野 助教
2011年4月 長野県立こども病院形成外科 フェロー
2012年4月 信州大学医学部形成再建外科学講座 助教
2018年2月 信州大学にて博士(医学)を取得
2018年4月 伊那中央病院形成外科 主任医長
2020年8月 現職

所属学会・資格等:
日本形成外科学会(専門医、領域指導医、再建・マイクロサージャリー分野指導医、小児形成外科分野指導医)
日本創傷外科学会(専門医)
日本頭蓋顎顔面外科学会(専門医)
日本がん治療認定医機構(認定医)
日本乳房オンコプラスティックサージャリ―学会(評議員)
日本頭頸部癌学会
日本乳癌学会
日本マイクロサージャリー学会
日本リンパ学会
日本リンパ浮腫学会
日本リンパ浮腫治療学会
日本顔面神経学会
口腔腫瘍切除後の再建では、安全性と機能・整容の両立が重要である。当院で行っている口腔再建の工夫を部位ごとに供覧する。

1.舌再建 

 残された舌機能を、再建組織で阻害しない皮弁選択が必要となる。皮弁選択は切除範囲によって異なり、舌半切ではボリュームの少ない前外側大腿皮弁(大腿皮弁)を基本とし、BMIが高く大腿皮弁が厚い症例では鼠径皮弁を選択する。舌亜全摘や舌全摘ではボリュームのある腹直筋皮弁を基本とし、BMIが低い症例では腹直筋を支配する肋間神経を舌下神経に縫合して筋体の萎縮を防ぐ工夫や、腹直筋皮弁もしくは広背筋皮弁(遊離)を2皮島で採取し、重ねて厚みを増す工夫を行う。

2.下顎再建

 基礎疾患、年齢、癌の進行度、期待される術後咬合機能、術後照射予定の有無を総合的に判断し、リスクの低い症例には血管柄付き骨皮弁による硬性再建を行う。腓骨皮弁を第一選択とし、固定にはミニプレートではなく、下顎再建プレートを用いる。再建プレートはCTデータより作成した3D骨モデルに合わせ、事前にベンディングしてから滅菌を行う。

 リスクが高い症例のうち、骨欠損が前方を含む症例では、再建プレートと遊離皮弁を組み合わせて硬性再建を行う。皮弁は軟部組織の欠損量に応じて、大腿皮弁もしくは腹直筋皮弁を選択する。皮弁を先に縫い付けて口腔内と頸部の交通を遮断した後にプレートを器械台に出すことで、プレート感染を予防している(No-touch-technique)。プレートは遅発性の露出を予防するため、皮弁に含まれる筋膜(大腿筋膜、腹直筋前鞘)で被覆する。骨欠損が側方のみの症例では硬性再建を行わず、遊離皮弁で軟部組織の充填を行う。

3.中咽頭再建

 鼻咽腔閉鎖機能と嚥下圧を保つことが目的で、出来る限り知覚のある残存粘膜を利用し、かつ、鼻咽腔や中咽頭腔を狭く再建することが重要である。大腿皮弁の使用、Gehanno法による鼻咽腔再建、舌根縫い上げの3つを基本にしている。軟口蓋側(頭側)と舌根側(尾側)の欠損に分けて考える。Gehanno法は軟口蓋の全層欠損に対する再建法で、咽頭後壁から咽頭筋粘膜弁を挙上して軟口蓋裏面の断端と縫合し、残った表面の粘膜欠損に皮弁をパッチする方法である。舌根部に欠損が生じた場合は、皮弁の縫い付け前に、緊張のない範囲で口蓋垂の高さを目標に舌根と咽頭後壁の断端を縫い上げ、中咽頭の知覚と嚥下圧を維持する。