第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-09] 当科における高齢者の口腔扁平上皮癌患者に関する臨床統計学的検討

〇隅田 賢正1、勝見 祐二1、内藤 絵里子1、伊藤 元貴1、永井 孝宏1、新垣 元基1、児玉 泰光1、永田 昌毅1,2、髙木 律男1 (1.新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面口腔外科学分野、2.新潟大学大学院医歯学総合研究科 高度医療開発センター先進治療開拓部門)


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緒言:近年、本邦での高齢化に伴い、高齢口腔癌患者に対する治療機会は増加している。高齢者の癌治療に際しては、癌の進行度だけでなく、全身状態や基礎疾患、社会的背景なども考慮する必要があり、治療に制約を受けることが多い。今回、高齢口腔扁平上皮癌患者の病態および治療の現状を把握するため、臨床統計学的に検討を行った。

対象と方法:2009年1月から2018年12月までの10年間に新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科診療室を受診した口腔扁平上皮癌一次症例のうち、初診時年齢が80歳以上の高齢者48例を対象とし、年齢、性別、発生部位、病期分類、合併基礎疾患、治療態度、治療成績などについて検討した。

結果:男性19名、女性29名、年齢中央値は84.5歳であった。発生部位では、舌17例、下顎歯肉15例の順に多く、病期分類ではIII期5例、IV期29例と進行癌が70.8%を占めていた。合併基礎疾患は48例中46例で有しており、1人あたりの平均保有疾患数は3.4疾患であった。治療態度は根治的治療22例、非根治的治療26例(姑息的治療7例、無治療19例)であり、治療成績は5年疾患特異的生存率が根治的治療群で46.8%、非根治的治療群で6.1%であった。

考察:高齢者においても手術療法を含む根治的治療が望ましいものの、実際に治療方針を決定する際には、全身状態や治療後の合併症およびQOLの維持などについて配慮した上で治療方針を決定し、患者にとって最適な治療を行う必要があると考えられた。