第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-10] TNM分類改訂に伴う舌扁平上皮癌症例の再分類とその有用性の評価

〇宮澤 広樹1、加藤 広禄1、野口 夏代1、大井 一浩1、川尻 秀一1 (1.金沢大学附属病院 歯科口腔外科)


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【目的】UICC TNM分類第8版改訂は,従来のTNM分類に予後予測の指標が組み込まれた。口腔癌に関してはT分類で腫瘍深達度(DOI),N分類で被膜外浸潤(ENE)の概念が加えられ,評価基準が大きく変更された。そこで,当科で加療を行った舌扁平上皮癌症例に対して,新分類に基づいた評価を行い,予後に関して遡及的に解析した。

【方法】2009年1月から2018年12月までに当科で外科的治療を行った舌扁平上皮癌一次症例のうち,術前画像検査として造影CT検査を行い,DOIの評価が困難であった症例を除いた50例を対象とした。DOIは正常粘膜基底部から腫瘍最深部までとして計測した。

【結果】年齢は30歳から87歳(中央値は66歳),男性27例,女性23例であった。観察期間中央値は32ヶ月,術前造影CT画像のcDOI中央値は8.5mmであった。Stage分類ではStage I:10例→7例,Stage II:17例→15例,Stage III:11例→16例,Stage IVA:12例→11例,Stage IVB:0例→1例に変更された。新分類における全体の疾患特異的3年生存率(3yDSS)は85.3%であったが,3yDSSとcDOIに有意な相関は認めなかった。初回治療時に頸部リンパ節転移を認めた症例14例すべての原発腫瘍のDOIは5mm以上であった。原発巣再発・後発転移は12例に認められ,cDOIおよび病理組織学的因子と有意な相関を認めた。

【結論】本研究ではcDOIは生存率への反映は不明確であったが,頸部リンパ節転移や予後を予測できる可能性があり,病理組織学的所見と併せて臨床において有益となると考える。