第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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一般演題(eポスター)

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-15] 口腔扁平上皮癌の手術部位感染における危険因子の検討

〇宮原 慧1、佐々木 三奈1、安西 寛真1、大林 佑子1、首藤 俊一1、田中 文恵1、吉住 潤子1、勝俣 由里1、橋本 憲一郎1、平木 昭光1、池邉 哲郎1 (1.福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座)


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口腔癌における手術部位感染(以下、SSI)は比較的多い術後合併症の一つであり、治療の妨げとなる。そのため、SSIの病態を把握、予防が肝要である。今回、われわれは2015年12月~2019年7月に原発巣切除術と頸部郭清術を同時に施行した扁平上皮癌一次症例28例におけるSSIの危険因子について後方視的に臨床的検討を行った。全例に術前後の周術期管理や術後予防的抗菌薬投与を行っている。
SSIは11例(39.8%)に認め、男性6名、女性5名で、平均年齢が66.5歳であった。TNM分類では、cTおよびcStageでSSIの発症に有意差を認めた。再建方法では有茎皮弁の46.7%、遊離皮弁の33.3%、再建なしの25.0%にSSIを認めた。平均手術時間はSSI群で868分、非SSI群で935分であり、平均出血量はSSI群で585ml、非SSI群で848mlであった。平均入院日数ではSSI群は78.7日、非SSI症例は55.0日と有意差を認めた。術前TPの平均値はSSI群で7.3 g/dl、非SSI群で6.9 g/dlと有意差はなかったが、術前Albの平均値はSSI群で4.3 g/dl、非SSI群で3.9 g/dlと有意差を認めた。全累積生存率では、両群間に差はなかった。SSI群は全症例において、切開排膿術等の処置、抗菌薬の継続投与を行い、重篤な合併症はなかった。cTが大きい、またcStageの進行例では口腔の切除範囲が広く設定されるため、頸部に流出する口腔内の常在菌などが生じやすいと考えられ、口腔と頸部の創が交通する症例では、特に注意する必要があると考えられた。