The 39th Annual Meeting of Japanese Society of Oral Oncology

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一般演題(eポスター)

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-21] Clinical study of iatrogenic EBV positive mucocutaneous ulcer in the oral region

〇Itsuki Hayashi1, Hiroki Makita1 (1.Dentistry and Oral Surgery, Chuno Kousei Hospital, Gifu, Japan)


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【緒言】EBV陽性粘膜皮膚潰瘍(以下,EBVMCU)は,加齢や免疫抑制薬による免疫不全によってEBVが活性化した反応性病態とされている.2017年のWHO分類で新たに確立された疾患単位であり,その臨床経過や発症要因に関して不明な点が多く,今後の症例蓄積が必要とされている.今回,当科で経験した医原性に発症したEBVMCU3例について既存の報告例と比較検討したので報告する.
【対象】2018年4月から2020年9月までに当科を受診しEBVMCUと診断した3例で,調査項目は年齢,性別,原疾患,免疫抑制薬の種類・投与期間,発生部位,治療法,転帰などとした.
【結果】年齢は63~82歳(平均70歳),性別は男性1例,女性2例であった.原疾患は関節リウマチ2例,間質性肺炎1例であった.免疫抑制薬の種類はMTX2例,タクロリムス(以下,FK506)+PSL1例で,EBVMCU発症までの投与期間はMTX投与の2例は10年以上,FK506+PSL投与例は9か月であった.発生部位は舌2例,口唇1例であった.治療法は,MTX投与の2例はMTX投与中止し,FK506+PSL投与例はFK506のみ投与中止とした.転帰は全例軽快であった.
【考察】我々が渉猟した限り,口腔領域に発生した医原性EBVMCUは9例報告されており,まれな疾患である.自験の3例を含めて検討を行った結果,免疫抑制薬の中止や減量を行うことで追加治療なしで良好な経過を得ていた.したがって,医原性EBVMCUの治療は原疾患の病態に応じて免疫抑制薬の調整が肝要であると考えられた.