第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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2.悪性腫瘍・手術

[P02-16] 広範囲顎骨支持型装置のための骨移植による顎堤修正

〇中井 康博1、中井 史1、合田 千里1、田中 麻央1、三宅 実1 (1.香川大学 医学部 歯科口腔外科学講座)


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下顎歯肉悪性腫瘍に対する根治的治療として下顎骨辺縁(区域)切除が選択されるが、切除範囲によっては咬合力の低下を招き、全体のQOLを下げる重要な因子となっている。2012年4月より広範囲顎骨支持型装置が保険適応となったことで、従来の顎義歯と比較して咬合の回復がより行いやすくなった。しかしながら、健常部との高さの差や付着歯肉の喪失など、清掃性を著しく低下させる要因も多く、補綴物装着後のトラブルも少なくない。そこで、我々は補綴後の清掃性を向上させる目的に、下顎骨辺縁切除後に腸骨PCBMでの2期的顎骨再建を行い、さらに口蓋粘膜移植を行なったため、その症例の概要について報告する。症例は52歳、男性。右下6抜歯後治癒不全、歯肉腫脹を主訴に当科紹介受診された。右下顎歯肉に31×25mmの外向性顆粒状腫瘤を認め、右顎下に10mmを超える腫大リンパ節を認めた。2014年6月に右下顎歯肉癌(cT2N1M0)の診断で右下顎骨辺縁切除、右全頸部郭清術を施行した。再発転移所見なかったため、2018年11月に腸骨PCBMによる顎骨再建を行い、2019年10月にインプラント1次手術を行なった。2020年7月にはインプラント2次手術と同時に口蓋粘膜移植術を施行した。移植粘膜の生着は良好で付着歯肉が獲得できたため、インプラント周囲の清掃性は非常に良好な状態が保たれていた。2020年10月にインプラントオーバーデンチャーを装着し、その後も目立った異常なく経過している。