第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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2.悪性腫瘍・手術

[P02-17] 悪性リンパ腫の治療のため生じた上顎骨欠損に対し顎義歯による機能回復を求めた無歯顎患者の1例

〇蒲原 麻菜1、合島 怜央奈1、森 啓輔1、檀上 敦1、山下 佳雄1 (1.佐賀大学 医学部 歯科口腔外科学講座)


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【緒言】悪性リンパ腫はリンパ球に由来する悪性腫瘍の総称で、全身の臓器に発生するが、口腔内の発症は比較的まれである。今回我々は、口蓋の悪性リンパ腫の治療により上顎骨に広範囲欠損を生じた無歯顎患者に顎義歯を作製し、機能回復を得ることができた症例を経験したので報告する。【症例】70歳代の男性。2018年10月頃より咽頭痛を認め、当院耳鼻咽喉科を受診。CT所見にて中咽頭腫瘤および両側頸部リンパ節の腫脹を認め、PET-CTにて両側腋窩および左鼠径部に腫大リンパ節および散財する皮下結節を認めた。組織生検の結果、DCBCLの診断となり、当院血液腫瘍内科にて化学療法開始となった。3コース目施行中より口蓋に潰瘍性病変を認め、当科対診依頼となった。化学療法による粘膜炎を疑い、経過観察を行っていたが、潰瘍は硬口蓋~軟口蓋まで拡大傾向にあったため、組織生検を行ったところ、DCBCLの診断となり、放射線併用化学療法が開始となった。治療開始後、病変は縮小したが、硬口蓋に大きな実質欠損が生じ鼻腔との交通を認めた。まず欠損部を閉鎖し、経口摂取が可能となるような保護床を作成し、創部の治癒を待って顎義歯を作製した。顎義歯は、顎欠損部のアンダーカットを利用し、軽量化を図るため中空型とした。通常の全部床義歯と比較すると吸着力は低いものの、本義歯装着により咀嚼機能ならびに構音の改善が認められた。