第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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2.悪性腫瘍・手術

[P02-18] CASを使用して咬合再建を行った下顎歯肉癌術後の1例

〇長谷川 利聡1、助川 信太郎1、管野 貴浩1,2、柴田 茜1、助川 由佳1、藤村 愛1、松山 たまも1、古木 良彦1 (1.香川県立中央病院 歯科口腔外科、2.島根大学医学部 歯科口腔外科学講座)


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【緒言】
下顎骨辺縁切除・区域切除術後の咬合再建は,残存する骨の不足から十分な機能回復が難しい場合がある.今回我々は下顎歯肉癌術後の咬合再建に際し,Computer Assisted Surgery(CAS)での腸骨移植術・広範囲顎骨支持型装置埋入術が有用であったため報告する.

【処置および経過】
患者:82歳(初診時),女性.経過:2017年12月,右側下顎歯肉癌(cT4aN0M0,StageIVa)の診断下に,下顎骨辺縁切除術を施行した.術後再発なく経過良好であり,咬合不全の訴えが強かったため咬合再建を計画した.2018年11月,全身麻酔下に咬合再建の前処置として腸骨移植術を施行した.3D実態模型とComputer Assisted Design(CAD)により下顎下縁からの垂直的高さが20mm以上保てるよう設定し,腸骨をブロックで採取の上吸収性プレートを用いて固定した.2019年5月,全身麻酔下にフルガイドを用いて広範囲顎骨支持型装置埋入術を施行した.移植骨は生着良好であったが,パノラマXPで最大3.5mmの垂直的骨吸収を認め,下顎下縁からの高さの最小値は18mmであった.同年9月,局所麻酔下にインプラント二次手術および口蓋粘膜をドナーサイトとしてFree Gingival Graft(FGG)を施行した.同年10月,プロビジョナルレストレーションを装着.2020年9月ファイナルレストレーションを装着し,良好な咬合再建が得られた.

【結語】
下顎歯肉癌術後の患者に,CASを使用しての低侵襲で正確な腸骨移植術・広範囲顎骨支持型装置埋入術を行い,良好な咬合再建が可能であった1例を経験したため報告した.