第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-16] ニボルマブの投与で薬剤性間質性肺炎を発症するも完全奏効が得られた下顎骨中心性扁平上皮癌の1例

〇加藤 晃一郎1、堀江 彰久1、大橋 祥浩1、増田 千恵子1、熊谷 賢一2、濱田 良樹2 (1.独立行政法人労働者健康福祉機構 関東労災病院 歯科口腔外科、2.鶴見大学 歯学部 口腔顎顔面外科学講座)


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【緒言】免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブは, 頭頚部扁平上皮癌に対して臨床効果がある反面, 副作用の一つとして薬剤性間質性肺炎が注意喚起されている. 今回われわれは, ニボルマブを投与し薬剤性間質性肺炎を発症したが, 腫瘍の完全奏効を得た症例を経験したので, その概要を報告する.
【症例】86歳, 男性. 【既往歴】脳梗塞, 高血圧症, 糖尿病, 慢性腎臓病, 前立腺肥大症. 【現病歴】2018年1月に近医歯科で右下7番の抜歯術を施行した. 抜歯窩治癒不全と下唇の知覚異常を認め, 同年3月に精査加療目的に当科を紹介受診した.【現症】右下4番から右下7番相当部の歯肉に硬結を伴う腫瘤を認めた.造影CTで右下前歯部から下顎枝にかけて造影効果を呈する90×30 mm大の腫瘤性病変を認め, 周囲咀嚼筋に浸潤を示唆する所見が認められた. 頸部に有意なリンパ節腫大は認められなかった.【処置および経過】セツキシマブとパクリタキセルの併用化学療法によって腫瘍の縮小を認めたが, 救済手術を拒否したため再度同化学療法を施行した. しかし, 腫瘍が増大傾向を認めたため, 30Gyの緩和的放射線療法を施行した. その後にニボルマブを3回投与したところ, 薬剤性間質性肺炎(CTCAE v4.0 Grade 4)を発症したが, ステロイドパルスによって改善が認められた. 結果的に, 3回の投与でニボルマブは中止に至ったが, その後の経過観察中に腫瘍の完全奏効を得られ, 現在まで非担癌生存中である.