第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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4.悪性腫瘍・画像

[P04-05] 共同研究委員会WG3 (口腔癌DOIの画像評価)の進捗報告

〇小林 太一1、林 孝文1、田沼 順一2、小椋 一朗3、岡田 康男4、湯浅 賢治5、白石 朋子5、有地 淑子6、杉田 好彦7、富岡 寛文8、小西 勝9 (1.新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面放射線学分野、2.新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔病理学分野、3.日本歯科大学 新潟生命歯学部 歯科放射線学講座、4.日本歯科大学 新潟生命歯学部 病理学講座、5.福岡歯科大学 診断・全身管理学講座 画像診断学分野、6.愛知学院大学 歯学部 歯科放射線学講座、7.愛知学院大学 歯学部 口腔病理学講座、8.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎口腔外科学分野、9.広島大学病院 歯科放射線科)


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国際的に行われた口腔癌のTNM分類の改定を受け、本邦でも口腔癌取り扱い規約第2版において浸潤深度depth of invasion (DOI) の概念が導入された。DOIは病理組織学的に隣接する正常粘膜基底膜の仮想平面から腫瘍の最深部までの距離と定義され、視診・触診では正確な評価が行えず、画像診断が必須となる。しかし一般に利用されているCTやMRIでは、正常粘膜の特定が困難であることやアーチファクトの存在のため、DOI計測が不正確となる可能性を有する。一方で口腔内超音波診断法は正常粘膜の描出や浸潤先端の特定に有用性が期待されているが、DOI計測の正確性に関する検討は十分ではない。本研究は多施設共同研究として、口腔癌の中で最も高頻度に認められる舌癌を対象に、口腔内超音波診断法におけるDOI計測の妥当性を検証した。
対象は2014年から2019年に共同研究施設で舌癌の切除術を受けた患者333名(男性205名、女性128名、平均年齢61.3歳)とした。口腔内超音波診断法で計測されたDOI(以下usDOI)と病理組織標本上で計測されたDOI(以下pDOI)を比較し、統計学的解析としてBland-Altman分析を含めて2群間の相関と誤差に関する検定を行った。
口腔内走査から手術までの日数は平均18.6日であり、pDOIは平均 5.9 mm、最大 27.5 mm、最小 0.1 mm であった。usDOIとpDOIは相関係数 0.91 と非常に高い相関を示し、Bland-Altman分析では固有誤差 0.4 mm、95%信頼区間は ±4.0 mm であった。またpDOIが 10 mm 以下の症例で比例誤差はほとんど生じなかった。
usDOIはpDOIに対して 0.4mm程度の過大評価であるが、高い相関を示し、特にpDOIが 10 mm以下の症例に対して、術前のDOI計測に有用であることが示された。