第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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4.悪性腫瘍・画像

[P04-11] 上顎洞癌が産生するG-CSFにより腰椎骨折および脾梗塞を来たしたと考えられた1例

〇北村 直也1、大野 清二1、吉澤 泰昌1、山本 哲也1 (1.高知大学 医学部 歯科口腔外科学講座)


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【緒言】G-CSFは骨芽細胞の活性を抑制し、破骨細胞を活性化することにより骨粗鬆症を誘発することや、造血幹細胞の末梢血への動員を介し、脾梗塞・破裂を来すことが知られている。今回我々は、G-CSF産生上顎洞癌の治療中に腰椎骨折および脾梗塞を発症した1例を経験したので報告する。【症例】73歳、女性。近在内科にてWBC増多(50,100/μL)およびCRP値の上昇(3.98mg/dL)を指摘された際、患者が上顎歯肉頬移行部の有痛性腫脹を訴えたため、紹介により来科した。上顎洞腫瘍を疑い摘出したところ、病理組織診断は低分化型SCCであった。その後、WBCは低下(9,800/μL)したものの術後1か月で再上昇(125,300/μL)したため、超選択的動注CCRTを計画していたところL2骨折を発症した。当初は上顎洞癌の骨転移による病的骨折を疑ったが、FDG-PETおよびMR所見からG-CSFによる病的骨折と考えられた。その後、上顎洞癌に対してCCRTを施行したところ、WBCは著しく低下した(4,400/μL)。現在、L2骨折後2年が経過しているが、骨転移を示唆する所見はない。しかし、その間、原発巣再発に対しホウ素中性子補充療法、後発頸部リンパ節転移に対し頸部郭清術、肺転移に対し約6か月間の免疫療法(Nivolumab)を実施したもののWBC増多(131,700/μL)を来たし、脾梗塞の発症、PS低下、原発巣不制御および患者の希望によりSupportive careへ移行した。